理科好きな子どもを育てるには、自然が少ない都市部は不利?

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理科の目標は、まず自然に親しむこと

普通「科学」というと、「自然科学」のことを指します。「自然」について考える学問です。

小学校の学習内容を定めている「学習指導要領」によると、理科の目標には次のように書かれています。

自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに,自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養う。

この1文の中だけでも「自然」という単語が3回も出てきます。自然に触れる機会が少ない都市部に住んでいる小学生にとっては、理科が好きになるきっかけも少ないような感じがします。実際はどうなのでしょうか。

調査結果は、「理科が好き」な子どもは都市部も地方も関係がない

下のデータは、学研教育総合研究所が2012年7月に、小学6年生の子どもを持つ保護者に行った調査です。この調査は、子どもではなく、保護者に行っています。また、インターネットを使っているので、少し偏りがあるかもしれませんが、いくつかの結果を見る限りは、信頼できるデータになっていると思います。

まずは、子どもは理科が好きかどうかのデータです。あくまでも保護者が答えています。

理科好き全体

「とても好き」が21%で、「まあ好き」を合わせると74%です。他の教科と比較ができないので分かりませんが、理科が好きな子どもが多いことは間違いありません。(1028人のデータです。)

このデータを居住地で分けたのが次のデータです。

理科好き地域

都市部410人、地方618人のデータですが、ほとんど差はありませんね。少しだけ地方の方が理科好きが多い感じですが、あくまでもほんの少しですね。ほとんど変わりません。

「関係がない」ということも重要なデータです

「理科が好き」な子どもの割合が、居住地で変わらないというのは、予想とは少し違う結果でした。「なーんだ、違うのか」と残念に思わないでください。予想と違うときこそ「科学的に見る」チャンスです。なぜ違ったのか、予想の立て方が悪かったのか、気がつかなかった条件があったのか、などどれだけ深く考察するかが大切なのです。

それから、「なーんだ、住んでいる地域は関係ないんだ」と残念に思わないで下さい。「関係がない」ということも、立派なデータです。「すごい!関係ないんだ!」くらいの衝撃的なデータです。都市部に住んでいる人も、地方に住んでいる人も、有利・不利無く、同じ土俵で戦えるということです。

身近だからこそ気がつかないこともある

それでは、なぜ都市部と地方で差がないのでしょう。たくさんの条件があるとは思いますが、私の意見は、「近くにあるものも、意識してみないと見ていないのと同じである」ということでしょうか。科学的なものの見方をするためには、注意深く見る必要があります。地方に住んでいると、自然が当たり前のように身近にあるために、逆によく観察する機会がないのではないでしょうか。

それから、このページで何度か出てくる「自然」という言葉ですが、どちらかというと、植物、動物、昆虫などをイメージしています。つまり、生物をイメージすることが多いですね。地学的な要素もあるかもしれません。理科の分野としては、物理や化学もあります。いろいろな見方で身の回りのものを見てみると、部屋の中にも自然はたくさんあります。生物はいなくても、いろんな所にある自然を見つけてみて下さい。

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