![5-1](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5-1-1200x914.png)
![5-2](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5-2-1129x1024.png)
苦手な人が多いよね。でもしっかりと考えると必ず分かるので、問題をやりながらよく考えてみよう。まず最初は「熱の出入りがない過程」だ。これは分かるでしょ。
確かに「熱の出入りがない」ってよく聞くけど、よく分からないのよ。
この問いでは(a)断熱変化、(b)等温変化、(c)定圧変化のどれかから選ぶんだから、一番熱の出入りがなさそうなのはどの変化?
ということは、グラフは関係ないっていうこと?言葉で考えればいいの?
「熱の出入り」については、グラフからすぐには読み取れないんだ。あくまでも圧力と体積の関係のグラフだからね。なので、この場合は言葉から選べば分かるでしょ。
熱の出入りが無さそうなのは、「断熱変化」かな。でも「等温変化」も怪しい気がする。
そうだね。断熱と等温の区別が付かない人が良くいるね。気体の温度の変化って、熱の出入りだけで決まるわけじゃないんだ。例えば急に体積が膨張すると温度が下がるし、逆に急に体積を小さくすると温度が上がるんだ。理想気体の状態方程式って知ってる?
それは覚えているわ。
![Rendered by QuickLaTeX.com pV=nRT](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-9c6b9beb539618cf07ef7824b24d3e78_l3.png)
よね。
そうそう、合ってるよ。その式を見ると、絶対温度は圧力や体積と関係していることが分かるよね。
そういうことか。分かったわ。逆に等温変化だとしても熱が出入りしているかもしれないということね。ということは、断熱変化しかないのね。
その通りだよ。だからアは(a)なんだ。答えは①、②、③に絞られたね。
次の「内部エネルギーが変化しない」っていうのはグラフから分かるの?断熱、等温、定圧っていう言葉からは分からないわ。
教科書には必ず書いてあるんだけど、こんがらがっちゃうんだよね。とにかく大切なのは、「内部エネルギーは絶対温度に比例する」っていうことなんだ。そんなに難しくないでしょ。
それと、できれば「単原子分子理想気体」の内部エネルギー
![Rendered by QuickLaTeX.com U](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-920862bfeea9326329e6a357b3d7c1f8_l3.png)
は、
![Rendered by QuickLaTeX.com $$U=\frac{3}{2}nRT$$](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-7e54fb90d82d75060e23ebba431a1cdd_l3.png)
というのも知ってておいて欲しいんだ。大切なのは、係数が
![Rendered by QuickLaTeX.com \frac{3}{2}](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-5156af76b05e7fe63187a0b373179235_l3.png)
なのは、「単原子分子理想気体」の時だけということなんだ。
係数が変わるんだよね。ただ、理想気体であれば、「内部エネルギーは絶対温度に比例する」という関係は変わらないよ。
問題に戻ってみると、「内部エネルギーが変化しない」というのは、「絶対温度が変化しない」ということなの?
ということは、(b)等温変化のグラフを選べばよいので、イの答えは(b)ね。
![5-3](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5-3.png)
「気体が外部からされる仕事」ってよく見るけど、これもよく分からないわ。なんか公式があったような気もするけど。
簡単に言うと、気体の体積が小さくなっていれば、気体は外部から仕事をされていて、体積が大きくなっていれば、気体が外部に仕事をしたということになるんだ。
そうなの?体積の変化だけで、気体が仕事をされたのか、仕事をしたのかが決まるの?
そうなんだよ。ちなみに公式があるのは、定圧変化の時だけだよ。
定圧変化の時、
![Rendered by QuickLaTeX.com W=p\Delta V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-605f94d219b05305b77e066ab34051c6_l3.png)
というのが公式だ。
仕事の定義から導出できるんだけど、調べてみてね。でこの
![Rendered by QuickLaTeX.com W=p\Delta V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-605f94d219b05305b77e066ab34051c6_l3.png)
って、グラフでいうとピンク色で示した長方形の面積を表しているんだ。
![5.003](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5.003.png)
体積が減っているから、外部から仕事をされたのね。この面積が外部からされた仕事を表しているということか。
実は等温変化もこの面積が外部からされた仕事を表すんだ。
![5.002](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5.002.png)
定圧変化と同じような感じね。長方形ではないから面積は求まらないけど、なんとなく分かるわ。ということは断熱変化の時に、外部からされた仕事はその面積なの?
![5.001](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5.001.png)
面積は求めることはできないけど、大小関係は分かるということね。
![Rendered by QuickLaTeX.com W_c<W_b<W_a](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-ee60f926fa0ccb7ffbe607eb860c362d_l3.png)
だよね。答えは⑥ね。
![5-4](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5-4-742x1024.png)
そうだね。この分野で出てくるグラフはほとんど圧力と体積の関係なんだけど、時々温度との関係のグラフも出てくるんだ。ぱっと見て特徴的なのは「オ」のグラフだね。
「オ」は温度が変化していないってことね。だから等温変化ね。これで答えは②、④、⑧に絞られたわ。
原点にぶつかってるわね。ということは「ウ」は原点を通る直線だから、体積と温度が比例関係だということね。
![Rendered by QuickLaTeX.com $$\frac{pV}{T}=k$$](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-43d65a7141aa14efebe85ae8d27da3ce_l3.png)
よね。
![Rendered by QuickLaTeX.com k](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-e7a0d149fdfa3f9e35d5ce1eee18afdb_l3.png)
は一定っていうことだから・・・
この式から、どういうときに体積と温度が比例関係になるかな?
![Rendered by QuickLaTeX.com $$V=\frac{k}{p}T$$](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-28aeb2aeeeb714573724ddae2b93e0cb_l3.png)
だから、
![Rendered by QuickLaTeX.com p](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-1d0ba63d917a3f14e398b9cb89a43001_l3.png)
が一定だと
![Rendered by QuickLaTeX.com V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-c49fe0112c1ff37d2e954d0cf52d42d1_l3.png)
と
![Rendered by QuickLaTeX.com T](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-805e78c254e48f77648162a38d78102f_l3.png)
が比例関係になるわね。ということは、「ウ」は定圧変化っていうことね。「ウ」が定圧変化なのは⑧しかないわ。なんか不安だけど、答えは⑧?
そうなんだよ。「ウ」が定圧変化っていう条件だけで答えが⑧と決まっちゃうんだ。一応断熱変化も確認してみよう。
![5.004](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/5.004.png)
断熱変化って、外に熱が逃げないから、体積が減ると温度が上がるのね。
そうだね。本当は「熱力学第一法則」についても理解すると分かりやすいんだけど、この問題では「熱力学第一法則」があまり分からなくても答えがでるので、今回は詳しい説明はやめておこう。長くなるからね。