そして、「理系」が世界を支配する。

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理科・数学に関する仕事を目指そう!

クーリエ表紙ちょっと過激なタイトルですが、これは「クーリエ・ジャポン」2013年11月号のタイトルです。表紙には「ITと”ビッグデータ革命”で、『必要な人』が減っていく」とも書かれています。

文系と理系に分けるのがおかしい、という人もいますし、文系と理系の両方の考え方が必要だという人もいるでしょう。どちらかというと、私もその意見に賛成なのですが、問題なのは、日本の「中学2年生で理科に関係する仕事に就きたい」という子どもが2割しかいないという現実です(TIMSSの調査結果について書いた記事もご覧ください)。2割というのは、世界的に見ても最低です。欧米ではほぼ5割の中学2年生が理科に関する仕事につきたいと答えています。

このクーリエ・ジャポンのタイトルは、なかなか衝撃的で、大げさすぎる感じもありますが、是非とも若い人たちの進路選択の参考にして欲しいと思い、少しだけですが内容を紹介します。

 文系が優遇される時代は終わり、世界を変えていくのは「理系」になった

文系優遇は終わり給与に関するデータが載っています。アメリカの大学を卒業したばかりの人の収入です。日本で言うと、大卒の初任給に近いでしょうか。ちょっと高すぎですが、まあそれはいまちょっとおいておきます。ちなみに、全58科目の卒業生の平均給与は53,976ドルだそうです。

 

このベスト15を見ると、上位からほとんどが理系です。1番が医者なのは良いとして、2番がコンピュータ・システム工学なんですね。どういった企業に就職するのかまでは分かりませんが、Google、Facebookなどはここに含まれるのでしょう。私が大学時代、専門だった電子工学も5番に入っています。アメリカにいれば、もっと儲かっていたのかもしれません。

いわゆる文系は13番の経済学と14番の財務管理でしょうか。ただ、どちらも数学を結構使います。理科、数学を学ぶことが大切だと思うのですが、いかがでしょうか。

数字がすべての世界で、私たちは「アルゴリズムの奴隷」になるのか

アルゴリズムアルゴリズムというのは、「問題を解くための手順」というような意味です。そう言われてもよく分からないので、この記事には、具体的な話がいくつか書かれています。

その中の1つを紹介すると、映画スターの報酬は、映画の興行収入に見合っているのか、というものです。この「見合っているか」をどのように計算するかを「アルゴリズムを考える」、と言います。映画制作には監督、キャスト、脚本、音楽、衣装、などものすごくたくさんの人や物が関わっており、それぞれお金がかかり、映画スターの報酬の妥当性など普通に考えると、どう計算したらよいかは全く分かりません。しかし、今は一度にものすごくたくさんのデータをコンピュータが処理してくれるので、アルゴリズムさえ上手く作り出すことができれば、評価ができるということなのです。

ちなみにこの記事で紹介されている映画分析ソフトを使うと、ニコラス・ケイジ、レオナルド・ディカプリオ、トム・クルーズなどのスター俳優たちは、ほぼ確実にスタジオに「損をさせている」らしいです。損をさせない俳優もいて、ウィル・スミス、ブラッド・ピット、ジョニー・デップのうちの、誰かを使えば、確実に収入が増加するそうです。他にも名前は出せないが、ある超有名女優が出演すると、興行収入が確実にマイナスになるということも、アルゴリズムによって分かるのです。

ハーバード大学に広がる急激な「文系離れ」の波紋

ハーバード文系離れアメリカの文系社会を先導してきたハーバード大学では、文系を専攻する学生が減っているそうです。

掲載されているデータが少し古いのですが、2010年と2011年のデータをもとに発表されたレポートによると、大学を最近卒業した人の失業率は、英語学専攻が9.8%、哲学と宗教学が9.5%、歴史学9.5%だったのに対し、化学を専攻した人は5.8%ほどだったということです。それを学生は敏感に察知し、「文系離れ」が進んでいるのです。

他にもたくさんの記事があります。

  • ウォール街を支配しているのは、経済学者ではなく数学者たちだった
  • 「理系」の億万長者たちが夢見る、あまりに過激な「未来予想図」
  • 米国の「理系学生」たちの優秀さは、日本の学生とは比べものになりません
  • 2045年、すべての病は治療可能になり、他人の脳と”連結”できるようになる
  • ビッグデータは人間の脳を超えるのか「まったく新しい人工知能」の衝撃

などなど、まだまだあるのですが、今回はこれくらいにして、最後に文系の方向けの書籍の紹介です。

 “文系人間”でも楽しめる、必読「理系の教養本」ガイド

理系の本翻訳家の青木薫さんが8冊の書籍を紹介しています。青木さんの翻訳本については、サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」を読みました。非常にエキサイティングな内容で、最後まで一気に読めました。結構専門的な話も出てくるのですが、たぶん、青木さんの翻訳が素晴らしいのでしょう、引っかかることなくスムーズに読むことができました。

8冊を紹介して、Amazonのリンクを張っておきます。なお、クーリエジャポン発売時から消費税が上がったので、2015年現在の値段をこちらには書きました。

  1. 炭素文明論 佐藤健太郎著 1404円
  2. 操られる遺伝子 リチャード・C・フランシス著 2592円
  3. 破壊する創造者 フランク・ライアン著 文庫1080円
  4. 脳の中の倫理 マイケル・S. ガザニガ著 1944円
  5. 代替医療解剖 サイモン シン 、 エツァート エルンスト著 907円
  6. メディア・バイアス 松永 和紀著 799円
  7. 低線量放射線を超えて 宇野 賀津子著 778円
  8. 宇宙はなぜこのような宇宙なのか 青木 薫著 821円

青木薫さんも、「まずは食わず嫌いを言わずに、気になる一冊を手に取ってみて下さい。」とおっしゃってます。ぜひどうぞ。

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