センター2016物理追試第2問B「磁場中を動く導体棒」

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物理が苦手な文子
この図はよく見るわ。

物理が得意な秀樹
そうだね。図としてはよく見る感じだけど、電源が付いていて、さらに力を加えて導体棒を動かす、と両方あるのは、少し珍しいかもね。でもやることは一緒だね。

物理が苦手な文子
そうなのね。じゃあまずは、導体棒が静止しているから力のつりあいの式かな?図の左右方向だけでいいわよね。

物理が得意な秀樹
そうだね。

物理が苦手な文子
導体棒にはたらく力の矢印を描くと、手が引く力Fが左向き、それから、右向きは・・・何だろう?

2tB-5

物理が得意な秀樹
電流が磁場から受ける力だね。

物理が苦手な文子
そうか、フレミング左手の法則で向きを求めるやつね。

物理が得意な秀樹
そうそう。力の向きは右向きで合ってる?

物理が苦手な文子
左手の中指が電流の向きだから図の上向き、人差し指が磁場の向きで紙面に垂直で裏から表の向き、すると親指は・・・ちゃんと右になった!

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物理が得意な秀樹
良かった!というわけで、左右方向の力はこの2つだけなので、力のつりあいの式だね。

物理が苦手な文子
手で引く左向きの力はFでいいわね。右向きの力は確かF=IBlだったかな。

物理が得意な秀樹
ちゃんと覚えていたね。その中で、Iは次の問題で出てくるから、この段階ではI_0としておこう。lLね。それと、I_0は与えられていないので、何とかしなきゃダメだね。

2tB-7

物理が苦手な文子
そこはオームの法則ね。

2tB-6

    $$V=RI_0$$

    $$I_0=\frac{V}{R}$$

物理が苦手な文子
あとは右向きを正として、

    $$I_0BL-F=0$$

    \begin{eqnarray*}F&=&I_0BL\\&=&\frac{V}{R}\times BL\\&=&\frac{VBL}{R}\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
答えは⑤だね。次は問4だ。

2tB-3

物理が苦手な文子
導体棒が動いている場合って、もう電流は問3の\frac{V}{R}ではないのね?

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物理が得意な秀樹
選択肢に無いもんね。磁場の中で導体棒が動くとどうなるか覚えてる?

物理が苦手な文子
あ~そういえば、聞いた覚えがある。導体棒が電池になるんだっけ?

物理が得意な秀樹
そうだね。起電力の大きさは分かるかな?

物理が苦手な文子
確か、V=vBlだったかな。すべての選択肢にvBlが入ってるもんね。

物理が得意な秀樹
ははは、その通り!起電力の向きは分かる?

物理が苦手な文子
向きが難しいのよね。

物理が得意な秀樹
向きの求め方はいくつか方法があるんだけど、今はレンツの法則を使おうかな。導体棒と電源を含めた1巻きコイルだと考えると、導体棒が左に動くことで、このコイルを貫く磁束が増えるよね。

2tB-14

物理が苦手な文子
コイルの面積が増えるから、磁束が増えるっていうことね。

物理が得意な秀樹
磁束の向きは紙面に垂直で裏から表なので、その増加を妨げる向き、つまり紙面に垂直で表から裏の向きに磁束ができるように、コイルに電流を流そうと起電力が生じるんだ。

物理が苦手な文子
ということは、向きはどうなるの?

物理が得意な秀樹
向きは右ねじの法則に従うから分かるんだ。この図で言うと右回りに電流が流れるように導体棒に起電力が生じるから、上が正極になるような電池だね。

2tB-10

物理が苦手な文子
ということは、右にある電源と同じ向きね。電源の直列接続と考えて良いのね。

物理が得意な秀樹
今後の応用を考えると、キルヒホッフの第2法則を使いたいところだけど、この問題では電源の直列接続で大丈夫だ。

2tB-11

物理が苦手な文子
起電力がV+vBLで、抵抗がRなので、オームの法則から

    $$V+vBL=RI$$

    $$\therefore I=\frac{V+vBL}{R}$$

物理が得意な秀樹
答えは⑥だね。最後は問5だ。

2tB-4

物理が苦手な文子
電力の式ってP=IVよね。

物理が得意な秀樹
そうだね。でも気をつけなきゃダメなのは、この式は抵抗を流れる電流Iと抵抗にかかる電圧Vを使うことなんだ。この問題のVは抵抗にかかる電圧じゃないから、気をつけてね。

2tB-13

物理が苦手な文子
そうか。だから電力の式って、

    \begin{eqnarray*}P&=&IV\\&=&RI^2\\&=&\frac{V^2}{R}\end{eqnarray*}

物理が苦手な文子
いろいろあって、状況によって使い分けるのね。

物理が得意な秀樹
そうだね。まぁいろいろあるけど、すべてオームの法則V=RIで変形しているだけだから、1つ覚えていれば変形は簡単だよね。じゃあ、今使えるのはどの式かな?

物理が苦手な文子
抵抗を流れる電流はIなので、P=RI^2が使えるわよね。あと選択肢を見ると、Rが使われていないので、問4の答えを変形して、

    $$R=\frac{V+vBL}{I}$$

物理が苦手な文子
これで計算すると、

    \begin{eqnarray*}P&=&RI^2\\&=&\frac{V+vBL}{I}\times I^2\\&=&IV+vIBL\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
いいところまで来たね。後は、等速なので、左右方向にはたらく力がつりあってるんだよね。

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物理が苦手な文子
そういうことか。等速ということは、加速していないんだから力がつりあってるんだったわね。

    $$F-IBL=0$$

    $$IBL=F$$

物理が苦手な文子
この式をさっきの式に入れると、

    $$P=IV+v\times F$$

    $$\therefore P=IV+Fv$$

物理が得意な秀樹
正解!答えは④だね。あらためて答えを見ると、抵抗で消費される電力は、電源で作り出した電力と、手のした仕事率の和になっているね。

コメント

  1. […] 2016年度追試第2問B「磁場中を動く導体棒」 […]

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