センター2017物理基礎第3問A「斜面上の物体」

 

■とにかく力の矢印を描く

物理が苦手な文子
物体は静止しているのね。ということは,力のつりあいの式を立てるのよね。

物理が得意な秀樹
そうだね。力のつりあいの式を立てるには,まず力の矢印を描かなきゃダメだね。

物理が苦手な文子
まず重力を描いて,くっついているのは指と斜面ね。指から受ける力はすでに右向きにFと描かれているので,斜面から受ける垂直抗力をNとすれば,力の矢印は終わりね。

■力のつりあいの式を立てる

物理が得意な秀樹
すばらしい。次はどうしよう。

物理が苦手な文子
力を分解するんだけど,この図の場合は垂直抗力Nを分解するのがいいかな?

物理が得意な秀樹
そうだね。水平右向きをxの正の向き,鉛直上向きをyの正の向きとして,Nを分解して,力のつりあいの式を立ててみようか。

物理が苦手な文子
分解した力の大きさはこれでいい?

物理が得意な秀樹
いいよ。

物理が苦手な文子
それでは,力のつりあいの式を立てるわ。

x方向:F-N\sin\theta=0\cdots\textcircled{\scriptsize 1}

y方向:N\cos\theta - mg=0\cdots\textcircled{\scriptsize 2}

物理が得意な秀樹
いいね。求めたいのはFだよね。

物理が苦手な文子
それでは,Nを消去するわね。

\textcircled{\scriptsize 2}より,

    $$N=\frac{mg}{\cos\theta}$$

\textcircled{\scriptsize 1}に代入

    \begin{eqnarray*}F&=&N\sin\theta\\&=&\frac{mg}{\cos\theta}\times \sin\theta \\&=&mg\tan\theta\end{eqnarray*}

物理が得意な秀樹
正解だ。答えは③だね。では問2。

 

■力学的エネルギー保存則を使うことにする

物理が苦手な文子
斜面の運動だから,等加速度直線運動の式を使うわね。

物理が得意な秀樹
そのやり方もあるね。もう1つ力学的エネルギー保存の法則を使う方法もあるよ。どっちがいい?

物理が苦手な文子
簡単な方がいいわ。

物理が得意な秀樹
どっちもそれほど変わらないかな。

物理が苦手な文子
それじゃあ,力学的エネルギー保存の法則を使ってみようかな

物理が得意な秀樹
力学的エネルギー保存の法則を使うときに大切なのが,どの点とどの点で式を立てるのかをはっきりさせることなんだ。今の場合はPとQだね。

物理が苦手な文子
図には強調して描いておくわね。

物理が得意な秀樹
ここで出てくる力学的エネルギーは何かな?

物理が苦手な文子
運動エネルギーと重力による位置エネルギーね。

物理が得意な秀樹
一応,それぞれの式を確認しておこうか。

物理が苦手な文子
さすがに覚えてるわ。

物理が得意な秀樹
そうだね。運動エネルギーはいいとして,重力による位置エネルギーは基準を決めなきゃダメだよね。

物理が苦手な文子
下の方にすればいいわよね。今の問題ではPを基準にするわよ。

物理が得意な秀樹
それじゃあ,Pを基準にしたときのQの高さはどうなるかな?

物理が苦手な文子
高さをhとすると,こんな感じ?

物理が得意な秀樹
いいね。ここまで準備ができたら,式を立てようか。

■確実に確認して式を立てる

物理が苦手な文子
ちゃんと確認しながら書くわね。

    $$\frac{1}{2}m{v_0}^2+mg\times 0 = \frac{1}{2}mv^2+mg\times L\sin\theta$$

    $$v=\sqrt{{v_0}^2-2gL\sin\theta}$$

物理が得意な秀樹
正解!答えは⑧だね。