![t5-1](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/t5-1.png)
分子の2乗平均速度って、公式みたいのがあるんだっけ?
確かに教科書には載ってるね。もちろん、公式を覚えていたらこの問題は簡単なんだけど、覚えていなくても関係性が分かっていれば、答えは出せるんじゃないかな?
まずは分子の2乗平均速度と分子の質量の関係だね。何か覚えていることはないかな。
「2乗平均速度は温度で決まる」のか、「運動エネルギーは温度で決まる」のか、どちらかだったと思うんだけど。
すごいじゃない!どっちも正解だよ。飛び回っている分子のスピードが速いと,温度が高いって言うことなんだよね。実際に大切なのは,運動ネルギーの方で,こんな感じだよ。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15bt-5-1.png)
そういうことなのね。ということは、運動エネルギーは
![Rendered by QuickLaTeX.com K=\frac{1}{2}mv^2](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-23fe558328108e75327f8334b198f463_l3.png)
だから,運動エネルギーが一定だとすると,質量が小さい方が速さは速くなるわね。
そうだね。これで⑤〜⑧に絞られたね。2乗平均速度と温度との関係はどうなるかな。
温度が高いと運動エネルギーは大きいのよね。つまり,2乗平均速度も大きくなるでしょ。
まぁそうだね。⑤か⑥だ。教科書には平均の運動エネルギーは絶対温度に比例するという次のような式が書かれているよ。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15bt-5-2.png)
見たことがあるような気もするわ。この
![Rendered by QuickLaTeX.com k](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-e7a0d149fdfa3f9e35d5ce1eee18afdb_l3.png)
って何?
「ボルツマン定数」っていう名前が付いているよ。簡単に説明すると,「1分子あたりの気体定数」のことなんだけど,とにかく「定数である」っていうことが大切だよ。
なるほどね。最後は、「温度を一定に保ちながら気体の圧力を変化させる」のね。2乗平均速度は圧力や体積とは関係がないんだから、答えは「変化しない」ね。
正解!答えは⑥だ。一応さっきの式を変形するとこうなるよね。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15bt-5-3.png)
ちょっと文字にするとややこしいけど,左辺が2乗平均速度のことで,絶対温度の平方根に比例しているんだね。次は問2だ。
![t5-2](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/t5-2.png)
あれ?計算じゃない!やっぱり公式を覚えていなきゃできないんでしょ。
確かにこれも公式を覚えていれば、答えは出せるね。でもなんでもかんでも覚えればなんとかなる、っていうことでもないんだ。
そうだね。でも大丈夫。じゃあ、最初に出てくる「単原子分子理想気体」っていう言葉から何か思い出さない?
よく聞くキーワードよね。確か、内部エネルギーが決まってるんだよね。
![Rendered by QuickLaTeX.com $$U=\frac{3}{2}nRT$$](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-7e54fb90d82d75060e23ebba431a1cdd_l3.png)
ちゃんと覚えてるね。実は理想気体の場合、その内部エネルギーって、運動エネルギーの総和なんだよね。
ということは、
![Rendered by QuickLaTeX.com \frac{3}{2}nRT](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-9de318ddd24bcf67e810c25de31dcdea_l3.png)
を計算すればいいの?
ただそれは、
![Rendered by QuickLaTeX.com n](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-1008367c9b21df00bf85bf80c5a3e8ba_l3.png)
モルの気体の場合の式だよ。この問題は分子1個あたりだから、どうすればいいかな?
1モルあたりにして、さらにアボガドロ定数で割ればいいのね。
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*}\frac{3RT}{2N_A}&=&\frac{3\times 8.3\times 300}{2\times 6.0\times 10^{23}}\\&=& 622.5\times10^{-23}\\&\fallingdotseq&6.2\times10^{-21}\end{eqnarray*}](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-d6937f042abacf0a37fe4e30c4c01e2a_l3.png)
![t5-3](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/08/t5-3.png)
定積モル比熱を
![Rendered by QuickLaTeX.com C_V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-44e105ba252039ccbc428bfa981c3789_l3.png)
、定圧モル比熱を
![Rendered by QuickLaTeX.com C_P](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-287cac718a7293ae4a69de4fe507f735_l3.png)
とすると、①は
![Rendered by QuickLaTeX.com C_V>C_P](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-1456ba83fe646fdf7969f30f38b304ed_l3.png)
、②は
![Rendered by QuickLaTeX.com C_P>C_V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-c94d6143623358ae20997dac4b967e19_l3.png)
、③は
![Rendered by QuickLaTeX.com C_V=C_P](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-5040a44c4a3d2090c50a1e105f754453_l3.png)
、④は
![Rendered by QuickLaTeX.com C_V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-44e105ba252039ccbc428bfa981c3789_l3.png)
と
![Rendered by QuickLaTeX.com C_P](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-287cac718a7293ae4a69de4fe507f735_l3.png)
は無関係ということだ。
定積モル比熱とか、定圧モル比熱っていう言葉を聞くと、すごく難しく感じるんだけど、この関係は聞いたことあるわ。
確か、定圧変化だと加えた熱が、温度上昇だけじゃなくて、仕事にも使われるから、比熱が大きくなるんじゃなかったっけ。
その通りだよ。確認をしておくよ。モル比熱って,こういうことだよね。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15t-5-8.png)
気体の場合は,同じだけ温度を上げるにも,定積変化と定圧変化で必要な熱量が違うんだよね。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15t-5-6.png)
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15t-5-7.png)
この定積変化の時のモル比熱が「定積モル比熱」で,定圧変化の時が「定圧モル比熱」よね。
そうだね。この定積モル比熱
![Rendered by QuickLaTeX.com C_V](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-44e105ba252039ccbc428bfa981c3789_l3.png)
と定圧モル比熱
![Rendered by QuickLaTeX.com C_P](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-287cac718a7293ae4a69de4fe507f735_l3.png)
の関係はマイヤーの関係式という式で表せるんだ。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15t-5-4.png)
覚えていなくてもいいけど,知っていると便利だし,この式を導き出す問題も良く出題されるね。
![](https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/07/15t-5-5.png)
確かに引き算すると
![Rendered by QuickLaTeX.com R](https://www.rikagasuki.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-24df37163aaf6bb2c12279eb622eeca6_l3.png)
になるわね。