センター2017物理第1問 問5「音波の屈折」

 

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■気温が高いと音速は速い

物理が苦手な文子
図がないからなのか,良く分からない問題だわ。

物理が得意な秀樹
この話は教科書にはよく出てるんだけどね。最初の空欄の「音速」の話は分かるんじゃない?

物理が苦手な文子
気温と音速の関係ね。

物理が得意な秀樹
気温と音速の関係は教科書にも載っているよね。気温をt〔℃〕,音速をV〔m/s〕とすると,こうだよね。

    $$V=331.5+0.6t$$

物理が苦手な文子
この式は覚えた方がいいの?

物理が得意な秀樹
教科書に載っている,という意味では覚えておいた方がいいのかもしれないけどね。この問題でも数値までは問われていないから,センター試験としては,覚えなくてもいいんじゃないかな。

物理が苦手な文子
良かった。

物理が得意な秀樹
ただ,この式から「気温が高くなると,音速は速くなる」という関係は知らなきゃダメだね。あと気温にもよるけど,音速はだいたい340m/sっていうくらいは知っていてもいいかもね。

 

物理が苦手な文子
分かったわ。この問題では地表付近の気温が低いので,地表付近の音速は遅いということよね。

物理が得意な秀樹
そうだね。つまり気温と音速の関係を知っていれば,選択肢は⑤か⑥に絞れるね。

■速さが変わると屈折する

物理が苦手な文子
ここまではいいけど,次の空欄が全く分からないわ。上空よりも地表の温度が低いと,音が遠くに届きやすくなるか,届きにくくなるか,のどっちかを選ぶのよね。

物理が得意な秀樹
確かに分かりにくいかもね。感覚的にはどう?冬の夜中は,遠くの音が聞こえそう?聞こえなさそう?

 

物理が苦手な文子
冬の夜中って,すごく静かなイメージがあるから,遠くの音が聞こえそうに感じるわ。

物理が得意な秀樹
その感覚が正解だよ。静かだから遠くの音が聞こえるっていう面もあるかもしれないけど,実は音の屈折が大きく関係しているんだ。

物理が苦手な文子
屈折?

物理が得意な秀樹
そう屈折だよ。まずは簡単に,地表の温度と上空の温度が明確に境界線で分かれている状態を考えよう。

物理が得意な秀樹
地表から出た音は境界線を過ぎると,気温が上がることになるから速くなるんだね。さて,どっちに屈折する?

物理が苦手な文子
速さが変化すると,屈折するのね。でもどっちに屈折するの?

■屈折の法則

物理が得意な秀樹
屈折の法則を考えてみるよ。角度と音速を図のようにすると,

    $$\frac{\sin\theta_2}{\sin\theta_1}=\frac{v_2}{v_1}$$

物理が得意な秀樹
上空の方が音速が速いので,

\displaystyle \frac{v_2}{v_1}>1よって,

    $$\sin\theta_2>\sin\theta_1$$

0^\circ < \theta <90^\circなので,

    $$\theta_2>\theta_1$$

物理が苦手な文子
\theta_2の方が大きいということは,音はこっちに曲がるのね。

物理が得意な秀樹
そうだね。実際の温度変化は連続的なので,曲線的に曲がるんだ。こんな感じね。

物理が得意な秀樹
それと,実際はいろんな方向に音は広がっていくので,気温差がない場合と,地表の気温が低い場合の図を描いてみるよ。

物理が得意な秀樹
音が遠くに届きやすいのはどっちだと思う?

物理が苦手な文子
この音の方向を考えると,地表の気温が低い場合かな?

物理が得意な秀樹
そうなんだよ。なので答えは⑤だね。ついでに地表付近の気温が高い場合の音の動きは,屈折の向きが逆になるのでこんな感じになるんだ。

物理が苦手な文子
これだと遠くまでは音が届きにくそうね。

物理が得意な秀樹
そうなんだよ。

 

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